第10章 だいだい
口の中いっぱいに翔が広がった。
唇にびくんびくんと翔の脈動が伝わってくる。
「くっ…あ…和也…」
「ん…ふ…」
口の中に温かい翔の熱がいっぱいになると、翔が俺の髪を掴んだ。
「ごっくんして」
「ん…」
翔を口の中に入れたまま、ごくりと飲み込んだ。
「全部、飲んだ?」
頷くと、俺の顎を手で包んで嬉しそうに微笑んだ。
「いい子…」
「ん…嬉しい…」
「これで、俺のこと全部お前のものにできたろ?」
「うん…」
「なに?まだ足りないの?」
起き上がると、翔の身体をラグに押し倒して覆いかぶさる。
「きづいちゃった…」
「なに…?」
「たぶんね…」
「うん」
「一生、翔が足りないと思う」
「え?」
「だって、身体別々じゃん?魂も別々じゃん?」
「う、うん…」
「ひとつになりたいんだもん…」
そっと翔の胸に頬をつける。
「翔になりたいんだもん…」
「和也…」
「だからね、ごっくんもべたべたもいちゃいちゃも…セックスも…いっぱいしてね?」
翔の両腕が俺を包んだ。
ぎゅっと力が入ると翔は俺を抱き起こした。
「当たり前だろ。俺だってずっと我慢してきたんだ」
ちゅっと顔が近づいてキスを落とすと、唇の端を上げて笑った。
「逃さねえぞ」