第10章 だいだい
「和也…」
「もう…」
抱きしめる腕に精一杯のちからを込めた。
「はなさないで…」
とくんとくん、心臓の音が聴こえる。
暫くそのままで抱き合っていた俺たちはどちらからともなくキスをして…
口の周りが唾液だらけになっても気にせずお互いを貪って。
服を脱がせながらまだ唇が離せなくて。
荒い息の隙間にお互いの口に舌を入れて、お互いを味わって。
少し離れた唇の間には銀の糸が渡されて。
それを舌で絡めとって翔を見上げると、もうそこにはオスの顔をした男しかいなくて。
お互いに生まれたままの姿になると、リビングのラグの上に押し倒された。
「…離れないよ…和也…」
「うん…離さないで…」
覆いかぶさってきた翔は俺の首筋に顔を埋めて、ぴちゃぴちゃ音を立てながら、舌で愛撫してくれた。
「あ…翔…きもちい…」
「もっと気持ちよくしてやるよ…」
そう言って俺の身体全部にキスをしてくれる。
終わることのない柔らかい唇の感触が、どんどん俺を追い詰める。
昼の明るい光の中、翔の白い肌がなめらかに輝いてる。
肩に手を伸ばして、皮膚の肌触りを味わう。
「俺の…」
「え?」
「俺のもの…翔…」
「ああ…お前のものだよ…」