第10章 だいだい
「俺?俺は正真正銘のバージンだよ?昨日、翔にすべて捧げたよ?」
「お…おう…」
「翔は?バージン?」
「うん…」
「じゃあっ!」
「だあああめだってええええ」
「なんでぇ…?はにーのは奪ったのに、だーりんのはダメなの?」
翔はじっと俺のこと困った顔で見てたけど、突然にやりと笑った。
「だってお前…俺の奥さんだろ?」
「えっ…」
「奥さんのバージンを旦那の俺が奪って何が悪いんだよ」
「奥さん…」
「俺の童貞は百万光年前に捨ててきたから忘れてくれ」
「俺もそのくらい前だから気にしないで…」
「…そうね」
奥さん…俺、翔の奥さん…になってもいいの…?
奥さんって言葉をかみしめていたら、いつの間にか翔が後ろに立ってて俺を抱きしめた。
「ねえ…和也」
「ん…なあに…?」
「いつか…本当に俺の奥さんになってくれる?」
「いつかじゃなくて、今からでもイイよ?」
「えっ…」
「だって…俺、もうガマンしないもんっ…」
立ちあがって後ろにいる翔に飛びついた。
「うわあっ…」
倒れそうになるのを必死にこらえて、なんとか俺を抱きとめてくれる。
「俺も翔の奥さんになりたいっ…今すぐなりたいっ…だから、いつでもいい!」