第10章 だいだい
「じゃあ…」
電気シェーバーをテーブルに置いて、ソファに座る翔の膝に乗った。
きゅっと首根っこに腕を回して抱きつくと、とても落ち着いた。
「キス、いっぱいしよ?」
身体を少しだけ離して、翔の顔を見る。
ふっと笑った翔は俺の頬を右手で包んだ。
「そんなのえっちの内に入んねえだろ」
「だって…我慢、大変だったから…」
「その先も期待してるから大変だったんだろ?」
唇から赤い舌が見えたかと思うと、翔の唇が重なった。
ふんわりと暫くそのまま押し付けられると、中からでてきた舌が俺の唇を撫でていった。
「もう…知ったから…」
「え?」
「セックスの時、翔がどんな声だすのか、どんな顔するのか…俺の中でどれだけ大きくなるのか、もう知ったから…もっと、期待しちゃう…」
「…期待したら、どうなるの…?」
翔の手を掴むと、熱の集まる中心に押し当てた。
「こう、なる…」
「和也…硬くなってるよ…?」
「うん…翔を…翔の事考えるとね、いつもこうなってたの…」
「こうなったら、いつもどうしてたの?」
翔が手を離した。
身体の熱が逃しきれなくなってくる。
自分に素直に…
そう、俺、もう無理しないんだ…
欲望に、忠実に。