第10章 だいだい
「んふふ…」
「おまえ…」
「なあに?」
「いや…変わるもんだな…」
「嫌い?」
「えっ?」
「こんな俺、きらい…?」
ちょっと泣きそうになりながら翔さんを見上げる。
また翔さんの顔が真っ赤になった。
「な、なに言ってんだよ…好きに決まってるだろっ!」
そう言ってぷいっと横を向いてしまった。
鼻の下を撫でながら。
「ほんと…?」
涙が溢れる寸前まで盛り上がってきた。
「ほ、ほんとだよっ…」
そう言ってこっちを向いた翔さんはぎょっとした顔をした。
「か、和也ぃ~…」
「うえ?」
「ほら」
そう言って翔さんは腕を広げた。
ぽふっと飛び込むと、ぎゅっと翔さんに抱きついた。
「どうしたの…嫌いになんかなるわけ無いじゃん…」
「だって…俺、昨日と態度全然違うもん。ずっと意識して遠ざけてたから、もう我慢しないって決めたんだもん。ずっと、翔さんとこうしたかったんだもん…」
「わかったから…泣くな?」
「翔さん…」
キスして欲しくて顔を上げた。
翔さんは真剣な顔をして、顔を近づけた。
ゆっくりと重なりあった唇は、ふんわり柔らかくて熱かった。
「俺の翔さん…」
「和也…」
「俺も翔さんのものだよ…」
「わかってる…」