第10章 だいだい
鼻に栓をしながら翔さんは朝ごはんを食べている。
「ねえ…鼻の粘膜弱いの?」
「いや…そんらころらい」(そんなことない)
「そっか…なんでじゃあ鼻血出るんだろうね?」
「かずらりがかわええからら」(和也がかわいいからだ)
「そう?翔さんのほうがかわいいよ?」
「ほんらわけあるは」(そんなわけあるか)
「だって俺見て鼻血だすなんて、かーわいい」
「あらはふな」(からかうな)
ちょんと翔さんの鼻先を指でつついた。
「もう出ないといいね…また裸エプロンやってあげるね?」
ぼふっと翔さんの鼻から栓が抜けていった。
「お…俺の理性が確かなうちに飯食っちまえよ…」
「ん?」
朝食を食べ終わると、茶碗を食洗機にぶちこんだ。
洗浄開始のボタンを押してリビングに戻ると、翔さんが髭を剃っていた。
「俺やってあげる~」
翔さんから電気シェーバーを取り上げてぞりぞりと顎に当てた。
「やっぱり色白いね…」
「そうか?お前のほうが白いだろ」
「んーして?」
「んー」
あ、急に舐めたくなった…
美味しそうな首筋…
「えいっ」
「んあっ!?」
俺は翔さんの白い首筋に噛み付いた。
ちゅっと軽く吸い上げて、翔さんの肌に少しだけ赤い花が咲いた。