第10章 だいだい
「なんでそんなかわいいんだよ…反則だわ…」
「え?」
「なんでもねえよっ」
そう言って翔さんは俺を抱きしめた。
「翔さん…?」
「ん?」
「俺、昨日まで我慢してたの…」
「何を?」
「翔さんのこと、好きになるの…」
「そうなの…?駄々漏れだったけど」
「だけどさ、昨日翔さんにキスされて…」
「おい、駄々漏れ無視かよ」
「俺、もう箍が外れたから」
「ガン無視だな、おい」
「もう遠慮しないからね?」
「お、おう」
それだけ宣言すると、安心した。
「翔…ちゅーして?」
俺の顔をみてた翔さんが真っ赤になった。
ぶはっと鼻血を噴き出して、倒れていった。
「…大丈夫?」
鼻の根っこをアイスノンで冷やしながら翔さんはソファーに座ってる。
朝ごはんを用意しながら、チラチラ俺は見てた。
「らいよーぶ」
翔さんはちらりと俺を見ると、ちょっと悪い笑い方をした。
「かずらりがはらかえふろんしてくれらら…」
(和也が裸エプロンしてくれたら…)
「え?そんなことでいいの?」
ぽいぽいっと服を脱いで、かあさんが置いていった白いエプロンを着けた。
「うぼふっ…」
また翔さんは鼻血を噴いてソファに倒れていった。
「だめじゃん…」