第10章 だいだい
ほんとに買ってくれた…
2カートンのタバコの袋を右手に下げて家に戻る。
翔さんは両手にいっぱい荷物を持ってる。
「あの~…なんか持とうか?」
「いや、いい」
そういって平然と歩いてる。
普段から荷物多いのに…
更にコンビニの袋を2つ持ってる。
サイズは大だ…
「あっ…」
もうすぐ家っていうところまで来た時、前方から声が聞こえた。
女子高生が俺たちを見て固まってた。
ファンなのかな…
「に、ニノだあっ…」
女子高生は翔さんには目もくれず俺の方へ歩いてきた。
「あ、あの…握手だけ、いいですか?」
ちゃんとわきまえてる子みたいだ。
「いいよ。ホラ」
手を出すと、そっと女子高生は俺の手を握った。
「あ…ありがとうございます…あの…」
「え?」
「以前、ベイストでメール読んで貰ってとっても嬉しかったです」
「あ、そうなんだ」
「ポップっていうハンドルで…あの、彼氏の鳥のこと…」
「あっ…あれ!?マジで!?」
「すいません…笑って貰って嬉しかったです…」
「いや、あれはね…ぶふうっ…ぐふっ…」
「本当に…痛かったんです…なんでつつかれるかわからないし…怖いし…彼氏に言ってみたんですけど…」
「どうだったわけ…?」
「鳥のほうが大事って言われて、別れました」