第10章 だいだい
マンションに着くと、翔さんはさも当然って顔で車を降りてきた。
「じゃー、明後日」
そうチーフに声を掛けている。
「え?明日は?」
「オフ。収録、特番でないから」
「マジで…」
嫌な予感…
居座られそうな予感…
いやだめだ。
絶対帰ってもらうぞ。
明日休みなのは秘密にしておこう。
「二宮も明日休みなんだからゆっくり休めよー」
「あっ…ばかっ…」
チーフはそう言い残すと、車を発進させて去っていった。
「へえ…明日、ニノも休みなんだ…」
「でっ…でも用事あるから」
「なんの?」
「うっ…えっ?」
咄嗟に、なんの言い訳も出てこなかった。
なんでだろう…
「ないんだよな。じゃあ今日泊まるから。コンビニ行こう」
強引に腕を引っ張られて近所のコンビニに入った。
歯ブラシやらパンツやら、買い込んでる。
「明日の朝飯は?」
「ん~…じゃあなんか適当に…」
俺が手に取ったもの、翔さんはすべてカゴにぽいぽい入れていく。
「ちょっと…見てるだけだからいいって」
「俺が金出すんだからいいだろ?」
そう言ってやっぱり俺の後ろをついてくる。
「他になんか欲しいものない?」
「あ…タバコ…」
「いつものでいいのな?」
「うん…じゃあ2カートン」