第10章 だいだい
準備が終わって、返す衣装を選ってたら、マネのスマホが鳴り出した。
「はい、もしもし…」
ちょっと話が長くなりそうで、俺はコーヒーを買いに行った。
缶コーヒーを買って楽屋に戻る最中、ばたばたと煩い足音が聞こえた。
「ん?」
振り返ったら、翔さんが全力で走ってくるところだった。
「あ、翔さ…んあっ!?」
翔さんは俺の腹を持って抱え上げるとそのまま俺を持って楽屋まで走りこんだ。
「なっ…なにすんのよっ!?」
楽屋では俺のマネがスマホを持ったまま目を白黒させてる。
「ごめん!行こう!」
そう言って翔さんは俺と自分の分の荷物を持って、楽屋を出た。
「ちょっ…翔さん、マネは!?探してるよ!?」
「大丈夫。今日はニノの送りに同乗するからって言ってある」
「えっ…そんな勝手に!」
後ろから俺のマネージャーが追いかけてくる。
「櫻井さ~ん…ちょっとお願いしますよぉ!」
その後ろから、翔さんのマネが追いかけてくる。
「ちょっ!櫻井さん、どこ行くんですか!?」
「ニノと一緒に帰るから、帰っていいよー!」
「はああ!?」
マネの叫びがエレベーターの扉で遮られた。
「あのー…翔さん…?」