第9章 退紅(あらそめ)scene3
宮城入りは、スケジュールの都合でバラバラだった。
智くんと俺は別便だったから、顔を合わさなくてほっとした。
寝不足の顔で現れた俺を、ニノと潤は気遣ってくれた。
皆、知ってるんだ…
そうだよね。
知らないわけがない。
こんなスキャンダル…しかもコンサートの前に出る週刊誌に載るなんて…
どんな騒ぎになるのか目に見えてる。
専務は抑えることができなかったと詫びていたが、そんなことはもうどうでもいいんだ。
智くんが俺に飽きた。
それだけが俺を苛んでいた。
「翔さん…リーダーと話したの?」
「いいや…」
宮城に着いて、移動車の中。
二人は俺の両サイドにいて、身体を支えてくれてる。
「翔くん…だめだよ。話さなきゃ…」
「だってお前…あれ、智くんの彼女なんだぜ…?半同棲だってよ…」
「翔くん…」
「やっぱりさ…なんの未来もない男の俺といるより、智くんの子供作れる女と居たほうがいいんじゃねえの?」
言ってて涙が溢れてきた。
そう…そうなんだよね…
俺たち、男同士なんだよね。
あんなに惹かれ合って、好きになったけど…
なんの未来も残せないんだよね。
子供という未来を…