第2章 グレイscene3
「二宮さん、お疲れです」
演出助手についてる、昔からの顔なじみのスタッフが話しかけてきた。今こいつはチーフらしい。偉くなったもんだ。
「どう?現場は」
「いいねえ。連ドラの現場は久しぶりだよ」
「ご出演頂いてよろしいですか?」
「は?何いってんの?」
「実は小瀧くんが遅れてて…今日、新幹線事故あって…」
「えっ…マジで?」
「リハだけやりたいんだけど、代役お願いできる?」
「…いいよ…願ったりだよ…」
「え?」
ということで、リハだけ先に済ませるってことで、俺が代役に立つことになった。
「小瀧くんの代役、嵐、二宮和也さんですー!」
「すいませんうちの小瀧が…頑張りますので、よろしくお願いしまーす!」
そう言うと、スタジオに笑いが起こった。
その間にセットの直しなどが着々と進んでいく。
台本を渡され、チーフからシーンの説明を受けすぐにセリフを頭に入れる。
智は心配そうにこちらをちらちら伺ってる。
小瀧の代役だから、なにもこんなに真剣にならなくてもいいんだけど…
なんだか知らないけど、俺はマジになってた。
「かず…平気?スタッフさんが演るからいいんだよ?」
「何いってんの。アカデミー俳優が代役やるんだから、滅多にできない経験だよ?」
「そうだけどさ…」
そっと俺は智の尻に手を回した。
誰にも見えないように、尻の形を確認するように手を這わせた。
「あっ…や…」
小さな声で震える智が可愛くて。
「まだなんにもしてないのに、なに?そのはしたない声」
「…ごめんなさい…」
ぐいっと割れ目の奥に指を這わすと、硬いものがあった。