第7章 ショコラscene3
その日は、結局女性が口を割らず、なにも得られないまま帰ってきた。
雅紀は帰りの車中でもずっと無言だった。
その沈黙に耐えられず、また俺は泣いてしまう。
信号で車が停まると、雅紀はそっと涙を拭ってくれた。
「翔ちゃん…俺が守るから…」
そうは言っても…
雅紀、相当こわいんじゃないか…?
俺なんかと居たら、気が休まらないんじゃないか…?
雅紀を守るって決めたのに…
一生守るって決めたのに…
なんでこんなことに…
家に帰って、雅紀がお風呂の準備に立った。
俺はその隙に、家を出た。
宛はなかった。
雅紀を怖がらせたくなかった。
とにかく、辛いけど離れなきゃ。
除霊が終わるまで、ホテルで暮らそうかな…
スマホが鳴り出した。
画面を見ると、雅紀からで…
何も言いおいて出てこなかったから、探してるんだろうな…
でも、今雅紀の声聞いたら戻りそうで。
あの広い胸に飛び込んでしまいそうで。
「ごめん…雅紀…」
また、涙が溢れてきた。
守りたいのに…俺がおばけになってどうすんだよ…
ハンドルを握る手に力が入る。
またスマホの画面が光る。
けど、そこに表示されたのは雅紀の名前じゃなかった。