第7章 ショコラscene3
「櫻井さん…」
「はい」
「大変申し上げにくいのですが…」
「なんでしょう」
「櫻井さんの身体の中にいるのは、女性の霊です」
「へ?」
雅紀の顔を見たら、絶望的な顔してた。
「そ、それはどういう…」
「そうですね…その女性は、今、固く心を閉ざしています。だから、なぜ櫻井さんに憑いたのか、理由はわかりません」
「お祓い…することはできないんですか?」
「それが…ちょっとむずかしいですね…」
「なんでですか?」
「その女性、生きてるんです」
「へ?」
先生がおっしゃるには、俺の中にいる女性は生霊で。
生霊というのは、まだ生きた身体を持っているってことで。
むやみに祓うと、生きた身体に影響がでてしまうとのことだった。
「霊魂だけになってしまったものと、生きた身体を持つものでは扱いが変わってきます…」
「いつものようにはいかないってことですか…?」
雅紀が涙目になって聞く。
「…そうですね…ただ、身体から出せばいいってものじゃありません。また帰ってきてしまう恐れがありますし…」
「でも翔ちゃんはどうなっちゃうんですか!?」
「…なるべく、その女性と対話をしてすんなりと出て行っていただけるようお願いしますが…こじらせると、櫻井さんの身体にも、女性の身体にも影響がでてしまいますので、慎重にならざるを得ません…」