第7章 ショコラscene3
客間に通されると、行長先生が待っていた。
「先生、すいません…急に…」
「いえ、いいんですよ…」
先生もなんだか怖い顔をしてる。
俺はどうしていいかわからなくて、雅紀の服の裾をぎゅっと握ってる。
「相葉さん…仰るとおりですね…」
「やっぱり…」
雅紀が俺の顔を見た。
「さっき、見えたんです。その人の顔が…」
「そうですか…」
先生は立ち上がると、俺の方へ歩いてきた。
「先生…」
「櫻井さん、気分はどうですか…?」
「頭が…痛いです…」
「ふむ…」
先生の手が俺の額に当てられた。
「さあ、目を閉じて下さい。体の力を抜いて…」
不思議と、その手が当てられると身体の力が抜けた。
くたりと身体の力が抜けると、先生の手がそっと俺のまぶたを閉じさせた。
「さ…ソファに横になって下さい…櫻井さん」
深く、眠った。
目が覚めたら、客間のソファに横になってた。
奥様が俺に掛けてくれたみたいで、毛布をかぶっていた。
傍らには雅紀が座っていて、俺の顔をじっとみてる。
「どうしたの…?」
「ん?いや…なんでもない」
向かいのイスに先生が座ってらして、こちらをやはり見ている。
「あの…?」