第7章 ショコラscene3
雅紀…なんでそんな顔するの…?
いつもみたいに、笑ってよ…
怖いよ…
「雅紀が…笑ってくれない…」
「えっ…」
「俺、なんかした…?怒らせるようなこと…」
「翔ちゃん…」
「ごめんね…雅紀、嫌いにならないで?」
雅紀の腕を手繰って引き寄せる。
「雅紀が居ないと…俺…生きていけないよ…」
「翔ちゃん…」
「なんかしたなら…ごめん…」
雅紀の胸に頭を付けた。
「ごめん…雅紀…嫌いにならないで…?」
ぎゅっと抱きしめてくれた。
ひどく、それだけで安心した。
「嫌いになんか…なんないよ?翔ちゃん…」
「雅紀…」
「ごめんね…ちょっと動揺してるんだ…だから、怖い顔してるかな?ごめん…」
「どうして…?」
「ん…それはね、行長先生のところ行ったらわかるから…」
「…え?」
「だから、もうちょっと待ってね…?」
ぎゅっともう一度抱きしめると、俺の顔を見てちゅっとキスをくれた。
「あ…ん…」
雅紀がぎょっとした顔をした。
「え…?」
「しょ、翔ちゃんっ…」
「なに…?」
「その顔やばい…」
「え?」
窓に映る自分の顔を見たけど、いつもの顔だった。
「なにが…?」
「ん、もういい。だめだ。俺の理性が保たない…」
そう言って車を発進させた。