第7章 ショコラscene3
雅紀が行長先生に電話してる。
時計をみたらまだ20時だった。
すごく深刻な顔してる。
どうしたんだろう…
不安になりながら、雅紀の背中を見つめていると、また心臓がバクバクいいだした。
「先生いるって。行こ?」
「ま、待てよ。一体どうしたんだよ…」
「いいから…」
手を掴まれて部屋を出た。
また、雅紀に掴まれたところが熱い。
雅紀から漂ってくる香水の匂いが、身体を疼かせた。
どうしたんだろ…俺…
なんか、おかしい…
そりゃ、雅紀のこと好きだけど…
なんかおかしい。
エレベーターに乗り込んだら、もう何だか逃げ出したい程になった。
雅紀が…欲しくて…
ぎゅっと肩を抱き寄せられた。
思わず顔を見たら、雅紀の唇しか目に入らない。
吸い寄せられるように唇を重ねた。
雅紀が身じろぎしたから、エレベーターの壁に押し付けて更に深く口内を貪った。
「しょうっ…」
キスの合間に抗議する声も無視して、唾液が溢れるほどキスをした。
地下についた瞬間、雅紀はエレベーターから走り出た。
「翔ちゃん、早く…」
俺に向かって手を差し伸べるけど、俺の方を見ない。
目をそらして、じっと壁を睨んでる。
「雅紀…」
なにが、起こってるんだ…?