第7章 ショコラscene3
「ふうん…黒が夢に出てきたの…」
朝食のトーストをかじりながら雅紀が呟く。
「そーなんだよ…一体なんだってんだよな?」
「さあ…俺は黒の気配はあれから感じないから…わかんないな…」
そういえば、黒がお礼に来た時は雅紀は寝ていたし…
俺だけなのか、あの姿みてるのは。
あれから3ヶ月。
雅紀は本物さんに取り憑かれることなく、無事に過ごしている。
お蔭で体調もすこぶるいいし、俺達の関係もすこぶる良好だ。
「まーさき」
「ん?」
テーブル越しに、唇を尖らせ目を閉じてみる。
唇に温かい感触…
むらっ…
立ちあがって、テーブルに中腰で凭れてる雅紀の後ろに回った。
「えっ…」
「まあまあ…」
「ちょっ…翔ちゃんダメだってっ…時間っ…」
「だいじょうぶだいじょうぶ」
「なにがだよっ!根拠の無い大丈夫やめてよっ!」
スエットをずりっと下げて、雅紀の前に手を回す。
「あっ…やだぁっ…」
「あれれ…嫌だと言いながらなんですかこれは…」
「だって翔ちゃんのちゅー顔かわいかったんだもん…」
「ぶっ…俺が!?」
「かわいいもん!」
「うそつけ…」
きゅっと雅紀を握って、襟足に顔を埋める。