第7章 ショコラscene3
「うう~っ…黒、ヤメろ…」
黒が俺の口をべろんべろんに舐め回してる。
獣臭い…うう…動物は得意ではないんだ…
ヤメレ…
それでも黒が嬉しそうにしているから、引っ剥がすこともできない。
べろべろとされるがまま、俺は黒に舐められてた。
やがてわん!と嬉しそうに吠えると、黒は走りだした。
でも急に俺の方を振り返って、少し険しい顔になった。
「なんだ?どうしたんだ?黒」
俺の背後に向かって唸っている。
「え?なんか居るの?」
そう言って、振り返った瞬間ものすごい黒の鳴き声が聞こえた。
「うわっ…」
急に身体が浮いたような感覚と共に、全身を打ち付ける痛み。
「痛ってー…」
一番打ちつけた肘をさすりながら、思わず周りをキョロキョロ見渡した。
「ふにゃ?」
ここは俺んちの寝室。
ベッドから落ちてる…
「なんだ、夢か…」
頭をボリボリと掻く。
相変わらずの寝相の悪さ…自分でも嫌になる。
一緒に落ちてしまった、薄がけの布団を持ちながらマットレスの上に戻る。
雅紀はこんな騒ぎなのに目を覚まさない。
もう慣れてしまったんだろう。
こんなこと、しょっちゅうだからな…
すやすやと眠るかわいい頬にキスして、俺は再び眠りについた。