第5章 ロザリオ
ここにきてから一度も食事をしていない。
そして、今がいつかもわからない。
黙ってテーブルに置かれたおもゆを見つめた。
「…潤が…ベランダで倒れていた日から、ちょうど一週間だよ」
後ろから翔くんが言う。
振り返ると、コップに入った水を手渡してくれた。
「さ、ご飯食べな」
食べ終わると、翔くんは俺を着替えさせた。
そのまま俺は連れだされて、車に載せられた。
どこに行くのかと思ったら、事務所で。
そのまま俺は事務所で降ろされた。
「ちゃんとしてこい」
翔くんはそのまま生放送の仕事に向かった。
ありがとう、言えなかった…
事務所の中に入ったら、既に連絡が行っていたらしく幹部が待ち構えていた。
小さな部屋に押し込まれて、長い時間説教をされて…
「櫻井が、絶対に立ち直らせると約束したから、なんとかこの一週間仕事の調整したんだ…お前、櫻井に感謝しろよ」
俺は、どの仕事にも穴を開けていないようだった。
メンバーでやりくりして、なんとか穴埋めしてくれたみたいだった。
メンバーや事務所の人間以外には、迷惑掛けていないことに驚いた。
全て…翔くんがやってくれたことだった。
涙が頬を勝手に伝い落ちていった。
「松本…もうアルコールに逃げるな…逃げてもいいことないぞ…」
「はい…すいませんでした…」
深々と下げた頭を、ポンと叩かれた。