第5章 ロザリオ
そうやって…ずっと過ごしていた。
翔くんは俺から片時も離れることがなくて。
仕事はどうしたんだと聞いても、黙って笑うだけで答えない。
俺はどうなってもよかったけど、翔くんまで巻き込むわけには行かない。
でも不意にくる身体の震え、吐き気や頭痛などの身体の痛み…
それは治まることがなくて。
その度に翔くんは俺の身体を抱えて、ぎゅっと抱きしめてくれる。
そしていつまでも、俺が眠れるまで一緒に起きていてくれる。
眠ると、ひどい夢をみた。
うなされて起きると、傍らの翔くんは必ず起きていて、俺の手を握りしめていた。
「翔くん…もういいよ…仕事…戻りなよ…」
「いいから…潤は何も考えなくていいから…」
「でも…」
「潤…さあ、眠るんだ」
まぶたに手を置かれて、とろとろと眠りに入る。
翔くんの唇がまた触れていく。
夢でも見ているような時間。
赦してなんていないだろう。
なのになぜ…
翔くん…
深く深く眠った。
どれだけの時間眠っていたのかわからない。
でも本当に久しぶりに熟睡をした気がする。
目を開けたら、俺はひとりきりであの部屋で眠っていた。
起き上がると、身体が軽い。
パジャマの上から、腕を擦る。
どこも痛くない。
頭がすっきりとしていた。