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カラフルⅢ【気象系BL小説】

第5章 ロザリオ


眠りは訪れなかった。
ただ翔くんの胸に抱かれながら、俺は目を閉じていた。
身体は凍ったように冷たい。
なのに汗が止めどなく流れる。
時々、翔くんがタオルを持って俺の汗を拭き取る。
目を開けると、微笑んだ翔くんの瞳が俺を見つめていた。

「ありがとう…翔くん…」

胃液で焼けきってしまった喉からはかすれた音しかでなかった。
翔くんは濡らしたタオルで、また俺の唇を拭ってくれる。

大きな黒い影が、目の端に写った。
その影は翔くんを包み込もうとしている。

「あ…う…」
「潤…?」

だめだ…翔くん…逃げろ…
言うことを聞かない身体を起こして、翔くんをベッドに押し倒す。
黒い影から翔くんを守るように抱きしめた。

「潤…どうしたんだよ」
「翔くんが…連れて行かれる…」
「え?」
「だめだ…どこにもいかせない…」
「潤…何言ってんだよ…」
「俺が…守るから…翔くん…」
「潤…?」

黒い影はどんどん大きくなって、部屋中に広がった。

「くるなよっ…こっちにくるなっ…」

影を振り払うように腕を振る。
散った影はまた集まって、翔くんを狙ってる。
いやだ…いやだ…いやだ…
連れてなんていかせない。
翔くんは明るい場所に還るんだ。

こんなところ、俺だけでたくさんだ…

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