第5章 ロザリオ
ベッドに半身を降ろされたと思ったら、いつの間にか着ていたパジャマを脱がされた。
そのまま布団を掛けられる。
暫くしたら、隣に翔くんが滑り込んできた。
翔くんも裸になってた。
「しょうくん…?」
ぎゅっと翔くんは身体を密着させて俺を抱きしめてくれた。
温かくて涙が出た。
「あったかい…しょうくん…」
「ん…ずっと、こうしてるから…」
「しょうくん…」
子供みたいに翔くんに身体を預けた。
力の入らない身体を精一杯翔くんに近づける。
翔くんのしっとりとした皮膚が吸い付くように全身に絡む。
「しょう…」
「今は…眠ろうな…たくさん眠ろうな…潤…」
俺の髪に顔を埋めて、翔くんが囁く。
その低いトーンがなぜだか心地いい。
どこからかまたアヴェ・マリアが聞こえてきて、俺の意識は旋律に揺蕩う。
「アヴェ・マリア…」
つぶやくと、翔くんは微笑んだ。
まるで…聖母みたいな微笑みだった。
全ての罪を、洗い流してくれる…
そんな微笑みだった。
「しょうくん…おれを…ころし…」
言いかけた口を、翔くんの唇が塞いだ。
「黙って…潤…静かに…今はなにも考えないで…」
「しょう…」
翔くんの唇が、また俺に重なった。