第5章 ロザリオ
目が覚めたら、またあの部屋に居た。
ぎゅっと翔くんが俺の身体を抱きしめていた。
翔くんの顔が傷だらけで…
手を見たら手も傷だらけで。
「…翔くん…」
ガラガラの声しか出ない。
「俺が…?」
翔くんは黙って首を横に振った。
「いいから…目を閉じて…」
「翔くん…翔…」
「大丈夫だから…潤…」
ぎゅっと抱きしめてくれる。
その腕の温かさが身体に染みてくる。
「今は…眠れ…」
「翔くん…もう…俺のことは…」
「何も言うな」
そっと瞼の上に手が置かれた。
温かい手が俺の意識を飛ばす。
翔くん…なんで…
なんで俺を抱きしめてくれるの…?
次に目が覚めた時は、俺は震えてて。
熱いのか寒いのかわからない。
顔は燃えるように熱いのに、身体は寒い。
歯の根が合わなくなってくる。
「潤……潤……」
翔くんがぎゅっと俺を抱き寄せて、温めてくれる。
「しょうくん…」
腕にもどこにも力が入らなかった。
ただ身体を流れる血液の流れる速さだけが、渦巻いている。
乾いた唇に、翔くんが濡れたタオルを当ててくれる。
気持よくて目を閉じると、また意識が浮遊する。
汗がとめどなく身体を滑り落ちていく。
「寒いよ…翔くん…」