第5章 ロザリオ
「潤っ…」
俺の胃液…翔くんの服にまでついた。
それでも翔くんは俺を離さない。
「酒…酒くれよ…そしたらここにいるから…」
「だめだ…」
「なんでだよおっ…酒くれよおっ…酒がないと俺っ…」
「潤っ…」
翔くんが俺をきつく抱きしめる。
身動きがとれない。
手首痛い…頭痛い…喉痛い…体中痛い…
「からだいたいよお…しょおくん…からだいたい…」
「潤…」
それでも翔くんは俺のこと、離してくれない。
涙が止まらない。
頭、痛い…痛い…痛い…痛い…
「離せっ…離せよおおっ…酒…酒くれよおっ…」
「潤っ…」
暴れても、暴れても翔くんは離してくれない。
俺のこと床に押さえつけて、馬乗りになって。
それでも離してくれない。
「お願い…頭痛い…頭が痛いんだ…」
「だめだ」
ぎゅっと俺の手首を床に押さえつけて、翔くんは動かない。
「そんなに俺のこと憎いんだ…」
「ああ…憎いよ…?」
「酒くれよぉ…頼むよ…」
「だめだ」
「酒くれたら死んでやるから…なあ…」
「だめだ…死なせない…苦しめ潤…」
そんなに…俺のこと憎いんだ…
「だったらほっといてくれよ…ほっといてくれたらあのまま死ねたのに…」