第5章 ロザリオ
「潤…潤…?」
目を開くと、翔くんが俺を見下ろしてた。
床に寝転がったまま、翔くんに肩を抱かれていた。
「起きられる…?ベッドに寝よ…?」
「翔くん…俺、帰る…」
翔くんの手を掴んで起き上がろうとすると、押さえこまれる。
「だめだよ…ここに居るんだ」
「なんで…?俺のこと許してくれないんでしょ…?なんでこんなことするの…」
「なんだっていい…とにかくここに…」
「うるせえっ…俺は…ここから出なきゃ…出なきゃ…」
「潤っ…」
翔くんを振りほどこうと立上がるけど、足に力が入らなくて俺はその場に崩れ落ちた。
自分の吐いたものの上に、俺は倒れこんだ。
服に染みこんでくるのがわかる。
それでも俺は立ち上がろうと床にしっかり手をついた。
「潤、だめだ…この部屋に居るんだ…」
「なんでだよっ…なんで…もう俺のことなんかすきじゃないんだろ!?ほっといてくれよ…俺は外に出るんだ…外に…」
翔くんが俺を後ろから抱きしめた。
「行かせない…潤はここに居るんだ…」
「離せ…」
「だめだ」
「離せよっ…」
縛られた手を振り回して翔くんを振りほどこうとするけど、翔くんの力が強くて離れない。
「もう…俺のことなんてほっとけよっ…」