第5章 ロザリオ
どのくらい時間が経ったのだろう。
時間の経過がわからない部屋にいると、自分が誰なのかもわからなくなってくる。
アルコールが抜けてくると、手が震えて…
縛られた両手を必死に抑えるけど、止まらなくて。
手首がベルトの皮で擦れて痛い。
それでも尚、俺は一人にされた。
それは長い時間であるようで、短い時間でもあるようで…
縛られた手を組み合わせると、胸に置いて俺は祈った。
ニノ…ごめんな…ごめん…
いつもポーカーフェイスで俺のこと迎え入れてくれるから、俺、全然わかってなかった。
本当にありがとう…
こんな俺のこと好きになってくれて。
応えられなくて…ごめん…
そして、俺のこと許してくれてありがとう…
どうか…幸せに。
俺のことなんて忘れて、幸せになって…
翔くん…
どうか…翔くんを闇から…
出られるようにして下さい。
俺は…どうなってもいい…
翔くんが俺のことを想ってくれていたこと、本当に嬉しかった。
俺の軽率な行動で、深く深く傷つけてごめん…
ごめんね…
もう、自分のこと傷つけるのはやめて…
俺のことなんて、忘れて…
どうか…
どうか…神様…お願いします…
俺を愛してくれた人たちを…救って下さい…