第5章 ロザリオ
「潤…起きて…」
目を開けると、翔くんが居た。
「翔くんっ…」
抱き寄せると温かかった。
「なあに…?潤…俺は逃げないよ…?お前みたいに…」
「うん…翔くんは俺と居ちゃいけない…」
「潤…」
「もう、一人で大丈夫だから…帰るね…?」
しっかりと翔くんを正面から見つめた。
「だから…もうあんなこと、止めろ…」
「え?」
「翔くんは、あんなことしたくないはずだよ」
「何言って…」
「誰でもいいわけない…俺のせいだよね…?」
「自惚れんな」
「いいや。俺が翔くんを傷つけたから…だからあんなことしてるんだ…俺にはわかるよ」
「違う…」
翔くんは立ちあがった。
「俺はセックスが好きなんだ。お前にどうこう言われる筋合いはねえよ」
「違うだろ…違う…翔くん…」
「うるさいっ…黙れよ…」
力の入らない身体をどうにか支えて立ちあがった。
翔くんの肩を掴むと、抱き寄せた。
「ごめん…本当にごめん…」
ぎゅっとそのぬくもりを確かめる。
「俺なんかのことは…忘れて…ちゃんと幸せに…」
「ふざけんな…」
翔くんが俺を突き飛ばした。
「ふざけんなよ…潤…お前に選択権なんかねえんだよ…」