第5章 ロザリオ
真っ暗だ。
地獄に堕ちたんだろうか…
ここは…どこ…?
微かにする物音。
だんだんこちらに近づいてくる。
扉が開くと、小さな灯りが点けられた。
「…翔くん…?」
「潤、目が覚めた?」
翔くんは手にトレイを持って部屋に入ってきた。
「翔くん…ここ、どこ…?」
「ここ?俺んち」
「え…?なんで…」
「だって、潤の家行ったら、倒れてるんだもん…びっくりした」
「ごめん…」
「さ、ご飯食べられる?」
「いや…食欲、ない…」
「…そっか…じゃあ、水だけでも飲んで?」
「うん…」
俺は広いベッドの上で、寝転がったまま水を飲んだ。
この部屋には窓がない。
家具もなかった。
ベッドしか置いてない。
殺風景な部屋だった。
「今、何時…?」
「お昼の12時だよ」
「え…?」
「さ、もうお水いい?」
「ちょっとっ…俺、仕事っ…」
「そんな状態で行けると思ってんの?」
翔くんは冷たい笑みを浮かべた。
「仕事なんていいでしょ…?」
「なに言ってんの…」
「だって潤、死のうとしてたんでしょ?」
「あ…」
「ニノに甘えて…生きる事からも逃げ出して…最低だね…」
何も言えなかった…
俺は俯いてシーツを握りしめた。