第5章 ロザリオ
絶望しか、感じなかった。
白んでいく外を見ながら、ベランダに出た。
柵から身を乗り出して下をみると、目が眩んだ。
ここから…飛び降りれば楽になる…
その前に…翔くんの声が、聞きたい…
手に持っていたスマホで翔くんに電話を掛けた。
時間は午前5時…
こんな時間に、電話に出てくれるわけないよな…
2コールだけ鳴らして、電話を切った。
「翔くん…ごめんね…大好きだよ…」
呟くと、心が少しあたたかくなった気がした。
翔くん…翔くんの居場所は、そんなところじゃないはずだよ…
ごめんね…俺のせいで…
翔くんをそんなところに追い込んだんだね…
今、楽にしてあげるから…
柵から身を乗り出そうとしたその時、スマホが鳴った。
翔くんだった。
どうすればいいかわからなくて、画面を見つめた。
留守電に切り替わると、翔くんの声が聞こえた。
『もしもし…こんな時間にどうしたんだよ…』
懐かしい声…ありがとう…翔くん…電話をくれてありがとう…
『潤…?電話、出ろよ…』
ありがとう…翔くん…
好きだよ…
翔くん…