第5章 ロザリオ
「自分のせいなのに、なんであんただけ傷ついてる顔してんのよっ…バカっ…」
そう言ってまた前を向いた。
ハンドルを持つ手に力が入ってる。
「ごめん…全部、俺がいけないんだ…ごめん…」
目を瞑ると、いよいよ頭のなかがグワングワン揺れている。
「翔くんもね、俺のこと嫌いだってさ…」
「なによそれ…ちゃんと聞いたの?本人に…」
「聞かなくてもわかるよ…大っ嫌いだろうよ…俺のことなんか…」
「潤くん…」
「もう…どうでもいいや…俺なんか…」
「なんでそんなこと言うのよ…」
ニノはハンドルをゴンっと殴った。
「そんなこと言ったって同情しないからね」
「ああ…同情なんかしなくていいよ…俺のこと、捨ててくれ…」
「潤くんっ…」
路肩に車を止めると、ニノは俺に抱きついてきた。
「捨てられたらっ…どんな楽かっ…」
「ニノ…だめだよ…」
「お願い…潤くん…俺のこと好きじゃなくていい…」
「だめだって…俺なんか…」
「どんな潤くんでもっ…好きなんだもんっ…」
ニノの激情に引きずられるように、唇を合わせた。
「お願い…潤くん…帰ってきて…」