第5章 ロザリオ
自販機のボタンを押す指が震えた。
アルコールの影響だ…
右手を押さえながら、やっとボタンを押した。
出てきた缶を取ろうとしたけど、上手く取れなかった。
奥の方に嵌ってしまったみたくて、出てこない。
下を向いていると、吐きそうになって。
自販機の前でしゃがみこんでしまった。
「潤…」
見上げると、そこにはニノが立っていた。
「取ってあげる」
怒った顔で、缶を取ってくれると俺に手渡してくれた。
「ありがと…ごめんな…」
そのまま窓辺に歩いて行く。
ニノの顔をまともに見られなかった。
「ねえ…潤くんっ…」
「え…?」
「ちゃんと…話、しようよ…」
「ニノ…」
「見てらんないよ…潤くん…」
そう言って俯いてしまった。
「…ごめん…」
収録が終わって、ニノの運転する車で帰る。
翔くんは俺を一回も見ない。
まるで俺なんか最初から居ないみたいに、微笑んでた。
「どこいくの…?」
「どこでもいいけど…潤くんしんどそうだから…」
目の前がグラグラ揺れてる。
酒が飲みたくてしょうがなかった。
「酒が飲みたい」
「絶対だめだからね」
「いいだろ…別に…」
「ばかっ…」
涙を溜めた瞳で、俺のこと見た。