第5章 ロザリオ
それから、翔くんと俺は何も話すこともできず。
ただ、時間だけが過ぎていった。
ニノのことも、ちゃんとしなきゃと思いながらも何もできずに過ぎていった。
雅紀やリーダーにはいつも怒られて。
だけど、翔くんを失ってしまった俺は何もする気が起きなくて。
抜け殻のようになっていた。
やっと想いが届いたと思ったのに。
こんなにあっという間に手のひらからなくなってしまうなんてね…
やってきたことの報いとは言え、あまりにもその喪失感はでかかった。
「ねえ…松潤、ちょっとお酒臭いよ…?」
「そう…?ごめん…」
まだ酒の抜け切らない頭で、立ち上がると自販機に向かった。
頭が痛い…気持ち悪い…
最近、酒がないと眠れない。
翔くんのことも、ニノのこともなにもはっきりできない俺は、ただアルコールに逃げていた。
一人になると、いろいろ考えてしまう。
翔くんは…
もう二度と俺の元には帰ってきてくれない気がする。
現実に向き合うのが怖くて、俺は今だちゃんと話をすることができない。
俺を想ってずっと一人で居てくれた翔くんを、裏切ったのは誰でもないこの俺なんだから…
そして、ニノ…
ただ孤独を埋めてくれるだけでいいと思っていたニノは、俺のこと…
真剣に想っててくれたんだ…