第5章 ロザリオ
ニノと雅紀がテラスから出て行くと、リーダーが歩み寄ってきた。
「別に二人のこと反対するつもりないけど…潤はちゃんとけじめつけないと、だめだからね?」
そう言ってテラスを出て行った。
「…どういうことだよ…」
「…ごめん…翔くん…」
「俺だけじゃなかったの?」
翔くんは俺をまっすぐに見た。
「俺だけが好きで、ずっと待っててくれたんじゃないの?」
「翔くん…」
ぽろりと翔くんの瞳から涙が落ちた。
「俺…なんか、勘違いしてたのかな…」
ふっと笑うと、袖で涙を拭った。
「潤は、俺のことだけ愛してくれてると思ってたのに…」
「翔くん…!」
「潤は違ったみたいだね」
そう言うと踵を返した。
「違うっ…俺は…翔くんしかいないっ…」
「じゃああれはなんだよ!なんでニノが…」
「俺…俺だって男だよ…!?ずっと一人で待ってられると思った!?何年待ってたと思う!?」
「俺はっ…潤のこと一人で想ってた!」
「…え…?」
「お前のこと好きになって、ずっと一人で…」
また涙がこぼれていく。
どんどん、どんどん溢れてくる。
「お前がニノに逃げてる間、俺はたった一人で…」
翔くんが駆け出していくのを、止めることができなかった。