第5章 ロザリオ
「ちょっと、いい?」
レギュラー番組の収録日、ニノに呼び出された。
まだ収録に入るまでだいぶ時間があったから、二人でテラスに出た。
今日は風が強くて、誰も居ない。
「何?ニノ」
「ねえ、翔ちゃんと付き合ってんの?」
「…え?」
「とぼけても無駄だからね」
「別にとぼけるつもり、ねえけど…」
「つきあってんだ?」
「ああ…」
「裏切り者…」
ニノは俺の腕をぎりっと掴んだ。
「なんで?今更…何回も振られてんでしょ?なんで?」
「ニノ…」
「諦めてなかったの?なんで?」
その時、テラスの扉が開いて雅紀と翔くんが入ってきた。
雅紀に引きずられるように、翔くんは歩いてる。
「雅紀っ…なんだよ一体っ…」
俺とニノに気づくと、翔くんは目を見開いた。
二人の後ろから、リーダーまでついてきてる。
「一体…なんだよ…これ…」
呟くとニノが俺の横っ面をひっぱたいた。
「全部、あんたのせいでしょうがっ…」
いうや、その場で崩れ落ちて泣き出した。
「どういう…ことだよ…潤…」
翔くんが俺の顔を呆然と見る。
雅紀がニノを抱え起こす。
「潤…お前が中途半端なことするから、泣いてる人間が居るってこと、ちゃんと分かれよ」