第5章 ロザリオ
翔くんの身体に、初めて触れる。
熱い、身体。
滑らかな皮膚に指を這わせると、翔くんの唇から甘い吐息が零れてくる。
「翔くん…」
「潤…もっと…触って…?」
気持ちを解放してしまった翔くんは、もうなにも隠さない。
自分の気持ちをストレートに俺にぶつけてくる。
「好き…潤…もっと…欲しい…」
「うん…あげるよ…」
首筋に顔を埋めると、音を立てながらキスしていく。
それだけで翔くんの身体から汗が噴き出してくる。
「嬉しいよ…感じてくれてるんだね…」
「潤…ずっと、触りたかった…」
「俺もだよ…翔くんがいじわるするから…触れなかったんじゃん…」
「違うっ…俺はっ…」
「わかってる…俺達の事、考えてくれてたんだよね…?」
「潤…」
男だから、男同士だから…
俺達には未来がない。
翔くんはずっとそう言っていた。
だけど、俺にはそんなこと関係無かった。
翔くんが手に入れば、俺はそれだけで生きていける。
だけど翔くんは違った。
どうしたら俺が幸せになるか…本当に幸せになるか…
ずっと、考えてくれてたんだ…
それが、嬉しい。
「今まで触れなかった分、たくさん触ってあげる…」
翔くんが、遂に俺を受け入れてくれた。
天にも昇る心地とは、こういうことを言うんだって…
初めて知った。