第5章 ロザリオ
今日は雑誌のグラビア撮影。
翔くんと俺の二人だけだ。
隣に座る翔くんは、心なしか嬉しそうにしている。
そっと、誰にも見られないように肩を引き寄せる。
「あ…潤…」
「ね、今日翔くんち遊びに行ってもいい?」
翔くんはびっくりしたように目を見開くと、こくんと頷く。
「どう…したの?急に…」
「ん?行きたくなったの。ダメ?」
「ダメじゃない…」
長い間、時間をかけてきた。
俺に振り向くように。
翔くんは頭が硬いから、男同士がどうだとか、同じグループだからどうだとか、いろいろ言い訳してたけど…
でもね、俺知ってるんだ。
俺のこと、好きだよね?
いつからだろう。
兄貴のように慕っていた翔くんが、俺のことあんな目で見るようになったのは…
まるで、恋する乙女みたいな目をしてる。
今も、俺のこと見上げてる目は、うっすらと潤んでいて。
「翔くん、どうしたの?そんな顔して…」
「え…?俺、どんな顔してた…?」
そっと翔くんの耳元に顔を近づけた。
「俺に恋、してるみたいな顔…」
囁くと、途端に俺から身体を離した。
耳を押さえて真っ赤な顔してる。
「う、嘘っ…」
その顔がまた、かわいくて…
思わず、キスしたくなった。