第4章 ヴェニット
なんとかソファまで連れて行って座らせると、ニノを挟み込むような形で俺達は座った。
次々に溢れてくる涙をタオルで拭いながら、俺達はニノの背中を擦ったり、頭をなでたりしながら落ち着くのを待った。
「和也…」
智がそっとニノの肩を抱いた。
「大野さん…」
ゆっくりとニノは智の胸に顔を埋めた。
智はびっくりして俺の顔を見た。
みるみる智の顔が赤くなっていく。
「か、和也…?」
智がニノの頬を手のひらで包んで上を向かせた。
「だめだよ…そんな抱きついちゃ…」
「なんで…?嫌なの?」
「嫌じゃないけど…その…」
「俺のこと…嫌いになったの…?」
「ち、違うっ…」
智は俺の顔をみて、ふんっと息を吐き出した。
あ、キレた。
「あのね和也…こういうこと、したくなっちゃうの…」
そう言ってゆっくりゆっくりとニノの唇にキスを落とした。
「ね?だからくっついちゃだめだよ…?」
「大野さん…」
智は俺の方にニノを向かせた。
ニノは目を潤ませながら驚いた表情をして固まってた。
俺もそっとニノを抱き寄せた。
きゅっと抱きしめると、ニノの顎をクイッと上向きにしてキスを落とした。
「ね…?だからね…俺たち…お前と一緒に遊べなかったの…」