第4章 ヴェニット
「相葉さんち行こうよ」
ニノがキッと俺達を見る。
「いいよ?じゃ、行こうか」
「え?」
「よし。じゃあタクシー捕まえるな」
「ちょっと…いいの?」
「え?だってニノが行こうって言ったんじゃん」
「なんか…都合悪いことあるんじゃないの?」
ニノは意地悪な顔をして俺たちを見た。
「都合悪いことって?」
「大野さんのものが、たくさん置いてあるんじゃないの?」
惜しいっ…
お前が泊まりにくるかもしれないからって、智の家に俺がよく行ってるんだよ…
つか、最近ほぼ入り浸りだったけど…
智が忙しいから。
「俺んちに置いてあるの、お前の荷物だけだぞ…?」
「えっ…」
ニノはみるみる真っ赤になっていく。
「そ、そうなんだっ…」
読みが外れて恥ずかしいのか、なんなのか…
ニノはそれから黙りこんでしまったから、とりあえず捕まったタクシーで俺の家に向かった。
家に着くと、ニノは勝手知ったる我が家でズカズカと俺の家に上がっていった。
でもリビングの入口に来たら、ピタリと立ち止まった。
「ん?どうした?」
「ううん…なんか、久しぶりだなって思って…」
寂しそうな顔で、リビングを見渡した。