第3章 チェリー・ポップ
信じられなかった。
ベッドで、ニノと智くんが抱き合って眠ってる。
裸で…
何が起こってるんだ…?
昨夜、智くんにニノを任せて帰ってきた。
家に帰って、ニノの部屋の鍵を持ってきてしまったことに気づいたけど、もう遅かったから明朝持っていけばいいかとそのまま眠りについた。
収録に向かう途中でニノの家に寄って、そっと鍵を開けて中に入った。
部屋の中は静まり返っていたから、まだ二人は眠っていると思って寝室へ向かった。
扉を開けると、まだ部屋のなかは遮光カーテンで薄暗かった。
ベッドに歩み寄ると、違和感を感じた。
寝乱れているのとはちがう、乱れ方。
絡みあう足がちらりと見えた。
そして裸で抱き合って眠る二人。
昨夜なにがあったのか、容易に想像ができた。
泣きながら俺たちに腕を伸ばしてきたニノ。
その手を…智くんは握ったんだ…
なんだかわからないけど、身体が熱くなった。
無心に眠る二人の顔をじっと眺めた。
なぜ…
帰ってしまったんだろう。
あの手を俺も握ったのに…
そう思って、我に返った。
今、何を思った。
その時、ニノが身動ぎをした。
慌てて俺は部屋を出る。
エントランスまで出て、また鍵を持ってきてしまったことに気づいた。
でももう戻る気にはなれなかった。
俺はまたニノの部屋の鍵を持って、収録へ向かったのだった。