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カラフルⅢ【気象系BL小説】

第2章 グレイscene3


それから潤との距離を縮めることに必死になった。
どうやったら潤ともっと仲良くできるだろう。
どうやったら…近づけるだろう…

長い年月をかけて、ちょっとずつ、ちょっとずつ俺たちは近づいていった。
潤の心を踏み荒らさないよう、プライドを傷つけないよう細心の注意を払いながら。
それが、どういうことなのか意味もわからず。


「あーっ…疲れたなあ…」
「潤くん、根を詰め過ぎですよ…」

ある年のコンサートの打ち合わせをしている時だった。
休憩時間に入って、皆出て行って俺と潤がふたりきりになった。
縮まった距離の分、俺達は気の許せる仲になっていた。
ほぼ毎日、お互いの家を行き来していた。

「も、なにその敬語…」
「なんかよくね?敬語キャラ。暫くやってみる」
「おもしれー!やってみてよ!」

潤が子供みたいに笑うのが好きだった。
そんな笑顔をいつも見たくて、俺はいつもふざけてた。

「どする?昼飯」
「んー、潤くんに任せますよ」

そう言うと潤は俺の方をふっと見た。

「何…?」

潤は俺のことじーっと見てる。

「何ですか…?ちょっと怖いですよ…」

いってみてもまだ見てる。
突然、潤は立ちあがって俺のところまで歩いてきた。

「わっ…」

俺のネルシャツの前をガバッと開くと、突然笑み崩れた。

「なっ…」
「これっ!これにしよう!」

ネルシャツの中に着ていたTシャツの文字を潤は指差した。

「こんな感じでアルバムの表にLOVEって書いてもらおうよ!」

きらきら光る笑顔が俺の心臓を突き刺した。
その後、潤のいっていることがほとんど耳に入らなかった。

俺は…潤のこと…


コンサートツアー中、潤はしんどそうにしてて。
公演が終わると、一人でどこかに消えていく。
その後ろをそっとつけていくと、空き部屋に入って倒れこんでいた。

静かに部屋に入って濡れタオルを額に乗せると、薄っすらと目を開けて驚いた表情をした。
じっと見ていると、だんだん目を閉じていって本当につらそうだった。

ソロからの流れがとても潤にとってきつい構成になっていたのはわかってた。
だけどそれ以外でも潤は体力的にきつそうで…
心配で片時も目が離せなくなった。

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