第9章 櫻井翔のキケンな夜会4
「やあだ!離せよおっ…」
「もおっ…おまえ、わかってんだろ!?」
「わかんないもんっ…わかんないっ…」
俺の腕を振りほどくと、雅紀はソファの陰に隠れてしまった。
「まーさーきー…」
ソファの陰から、派手に鼻をすする音が聞こえる。
ため息をつきながら、ティッシュの箱をソファの陰に差し出す。
あっという間に箱はひったくられた。
「ねえ…もう機嫌直してよ…」
「ばーかー…翔ちゃんのばかー」
…ほんとはね…
こんな雅紀が可愛すぎて、わざとやってんだよね…
「あーあ…雅紀が姿見せてくれないから、風磨と遊びにいこうかな…」
ガタンっと派手な音を立ててソファが揺れた。
雅紀の手が、背もたれに掛かってる。
「うーーー…うーーーーーーっ…」
かわいい唸り声が聴こえて、ついついにやけてしまう。
「風磨とどっか遊びに行っちゃおうかな~…」
「やだああああっ…やだやだやだーーーー!」
やっと雅紀が立ちあがって姿を見せてくれた。
「じょうぢゃん、あんでぞんなじじわうずるお!?」
「え?なんだって?」
「ぶえええええええ…」
「雅紀ぃ…おいで?」
腕を広げると、雅紀は涙をこぼしながら飛び込んできた。