第76章 ヒソップ

「智！？」

興奮しすぎて、手荒なことをしてしまったかと焦った。

「……俺…こんなの初めてで…」
「え？」
「…ここまで…興奮したことない…」

夢見るような表情で俺を見上げた。

「どうしよう…翔…どうしよう…」

声が掠れてる。

「凄く、翔とひとつになりたい…」
「智…」
「どうしよう…こんなの初めて…」
「俺も…」

今まで恋愛対象は女性だった。
でも、ここまで興奮して相手を求めたこと、なかった。

こんなに頭が真っ白になるほど、欲しいって…
思ったことなかったんだ。

「智が、欲しい」

抱きたい、って…男にそういう風に思ったことなんてなかったけど。
大野さんだけは違う。

「抱きたい…」

でも、大野さんも男で。
もしも俺のこと抱きたいって思ってたら…

「抱きたい…の…？」
「うん…智が嫌じゃなかったら…」

正直に言ったら、ふっと笑った。

「…いいよ…」

小さな声が、聞こえた。

「ほんとに…？いいの…？」

そう言ったら、手を伸ばしてきた。
握ると、ぎゅっと握り返してくれた。

「翔がそう望むなら…」
「智…」
「抱いて…？」

消え入りそうな声だったけど、しっかりと俺から目を逸らさずに言った。