第76章 ヒソップ
握られた手を強く、握り返した。
「ありがとう…智…」
嬉しくて、なんだか泣きそうになった。
大野さんは俯いて俺を引き寄せた。
床に膝をついて、大野さんを抱きしめた。
シャワーから出る飛沫で、身体がしっとりと濡れていた。
身体が、震えてる。
「…初めてだから…優しく…して…」
途切れ途切れに言われた言葉に、心臓が跳ね上がる。
「うん…」
ぎゅうっと抱きしめると、髪にキスした。
「なるべく…頑張るけど…」
「え…?」
「我慢、できるかわからない」
もう…情けないくらい、コントロールできる自信がなかった。
「ずっと…智に触りたかったから…ずっとずっと…」
「翔…」
現に今だって…また、痛いほど勃ってて…
「んあっ…」
急に大野さんにソコを掴まれた。
「…ど、どうし…」
「嬉しい…」
「智…」
「舐めてもいい…?」
伺うように、長い前髪の間から俺を見た。
「えっ…」
「舐めたい…」
そう言うと、身を屈めた。
止める間もなく、がぶりと俺を口に入れてしまった。
「あっ…」
生暖かい粘膜と舌が、すぐに俺を包み込んだ。
一気に奥まで咥えられたかと思うと、ずるりと引き抜かれる。
鳥肌が出るほど、感じた。
たまらず、髪の毛を掴んでしまう。