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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第76章 ヒソップ


それからひと月…

9月に入っても、まだ今年の夏は暑かった。
でも上旬に来た台風でだいぶ雨が降っていってからは、マシにはなった。

あれから俺のほうがギクシャクして…
でも、大野さんはなにもなかったように俺に笑顔を見せてくれる。

「あ…っと…」
「あ、課長」

午後の3時。
コーヒーでも飲もうと、給湯室に行くとベテランの女子事務員の綾野と野瀬がパイケーキを切っていた。

「コーヒー飲みたいんだけどな」
「はーい」

プラのコップをホルダーにセットすると、コーヒーを注いでくれた。

「これ、どしたの?」
「大野さんが差し入れで買ってきてくれたんです」
「おお。そっか」
「切ったら、課長の席置いておきますね」
「頼む」

さっき外回りから帰ってきたからな。
どっか美味しいとこのなんだろう。

「課長、大野さんが移動するってホントですか?」

綾野が寂しそうな顔をこっちに向けた。

「あ?ああ…」
「寂しいな…」
「ね?」

野瀬も寂しそうにすると、2人でため息をついた。

「マキシム・ド・パリのケーキ買ってきてくれる人なんて他に居ないのに…」

寂しいのはそこかよ…

「まあ、まだ決まってないからさ…」
「え?そうなんですか?」
「ほら、ご不幸があったばかりだから…」

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