第75章 今日の猫来井さん②
器用に水槽の縁を這い出ると、ぺとっとテーブルの上に落ちました。
そこから床に座り込む猫宮さんを眺めます。
「あらあ…ほんといい男ね~」
「な、なんだこいつ、いい海鼠じゃねえか…」
「ね?そうでしょ?」
くいっとその声に、ガーベラさんがなまこさんを見ました。
「あらあ…なまちゃーん?」
「あらっ…その声は、ガーベラちゃん?」
猫宮さんの手の中のガーベラさんが、くねくねと嬉しそうに身を捩ります。
「こーんなとこで会えるなんて偶然ねえ~!」
「ほーんとぐうぜーん!」
きゃっきゃと声を上げると、なまこさんとガーベラさんは再会を喜んでいます。
「あのお、智くぅん?」
ガーベラさんがくねくねとまた身を捩って猫野さんを見ます。
「申し訳ないんだけどぉ。花瓶かなんかある?」
「あ、えっと…」
「ありますあります」
慌ててお台所の戸棚から、一輪挿しの花瓶を取り出してお水を入れました。
リビングに戻ると、そこにガーベラさんを差しました。
「はー///生き返ったわぁ…」
「よかったわね!ガーベラちゃん」
まるで温泉にでも来た主婦のような声を出します。
その後も、リビングのテーブルの上では井戸端会議が繰り広げられました。