第75章 今日の猫来井さん②
うにうにとなまこさんが猫野さんの手の中でしなをつくっています。
「なんなんだ…」
呆然としていたら、ピンポーンと呼び鈴が鳴りました。
「あ、俺、手濡れてるから翔ちゃんよろしく」
「あ、はい…」
よろよろと立ち上がると、玄関に向かいました。
「はぁあい。どちら様ですか~?」
「あっ…猫来井さんっ!俺!猫宮!」
猫野さんのお友達の、猫宮さんでした。
「今開けますね~」
ガラッと引き戸を開けると、テンパった表情の猫宮さんが立っていました。
「あらあら。どうなさったの?」
「猫来井さんっ…これっ…」
手には可憐なガーベラの花が一輪。
「あら…猫宮さん…」
突然の求愛に照れていると、どこからか声が聞こえました。
「あらぁ…いい男♡」
「ん…?」
声が聞こえたのは、猫宮さんの手の中…
その花が、私の頬にちゅっと触れました。
ん…?ちゅ?
「ほぐぅぇ!?」
「あらいやだ///思わずキスしちゃったわ~」
「な、な、な…!?」
呆然として猫宮さんの顔を見ると、困りきった顔をしています。
「ね…びっくりでしょ?このガーベラ喋るんですよ…」
「やあん///ガーベラなんて呼び捨てにされちゃったぁ♡」
くねくねと猫宮さんの手の中でガーベラが動いています。