第73章 you have…
「ばか…翔の…ばか…」
「うん…ごめんね…?ニノ…」
「う…うぅ…」
またニノは泣き出した。
今度はシクシクと…静かに泣き出した。
「俺…嬉しくて…初めて人にちゃんと受け入れられたと思って…」
「え…?」
「俺さ…今まで上手く人と付き合えなかったんだ…でも智は、俺のことちゃんと見てくれて…」
ニノの背中を撫でながら、ぎゅっとニノの身体を抱きしめた。
「優しいからさ…智…」
「ただの優柔不断じゃん…」
「ふ…そうだね…そうなのかもね…」
意外と俺の身体と相性があったんだろうな…
最初は興味本位だったんだろう。
だって智は、俺とのセックスは本当に気持ちよさそうで。
でも…ずっと思ってたんだ。
心は…どこか違うところにあるって…
「嬉しくて…俺、ちゃんと考えることができてなかった…」
俺の傍に…いつまでも智がいるわけない。
いつか…智は俺のこと捨てるだろうって。
「智が本当に好きなのは…ニノだと思うよ…?」
だって、智は…
今でもニノと同じ香水をつけてる。
この香りを…ずっと身につけてるんだ。
「こんな…って、また言っちゃった…けど…」
「ばか…」
「こんな俺に、智が惚れるわけないって…」