第73章 you have…
「ばか…」
ニノが崩れ落ちるように床に座り込んだ。
「ばかっ…ばかばかばかっ…」
ボロボロと涙をこぼして、ニノは泣き出した。
「ニノ…」
「なんでこんな奴に…なんでぇっ…」
声を上げて泣くニノを俺はどうすることもできなかった。
「ごめん…違うんだって…」
「うるさいっ…」
どうしよう…増々ニノは誤解してる…
「あの…」
俺も床にしゃがんでニノの肩に手をかけた。
「ニノ…俺…」
「うるさいっ…」
手を振り払われて…
その反動でニノは床に突っ伏した。
「ばかぁっ…智のばかぁっ…」
子供みたいに泣き出すニノの背中を、ただ擦るしかできなかった。
盛大に泣いたニノが落ち着くまで、かなりの時間がかかった。
「もう…いい…」
「え?」
「もう…いいから帰れ…」
「ニノ…」
「智なんかいらない…これで満足でしょ…?」
「違うよ…ニノ…」
「なにが…何が違うのよ…もういいって言ってるでしょ!?」
ニノが起き上がって俺に飛びかかってきた。
殴られるっ…
そう思って目を閉じたのに、ふんわりと俺は抱きしめられていた。
「うっ…ううっ…」
小さな背中は、俺の上で波打っていた。