第73章 you have…
「智は…ニノが好きだよ…」
「は?」
「俺のことは…遊びだと思う…」
暫く、沈黙が流れた。
ニノの鼻を啜る音が聞こえた。
「…なんで、そんなこと思うのよ…」
「だって…俺、こんなだし…きっと珍しいんだよ…智…」
「はあ…?何なのあんた…」
ニノがこちらに歩み寄ってきた。
「俺なんか俺なんかって…イライラする」
ああ…まただ…
またこうやって俺は人をイラつかせるんだ。
「こんなやつに智を盗られたわけ?なんなの?」
「だから…違うって、ニノ!」
小学生の時も、中学生の時も…
俺が喋ると苛つくと言っていじめられた。
だから、極力本音を言わないように気をつけてきた。
今までそれで上手くいってたのに…
なのに…また、こんなところで俺は…
「ごめん…あの…」
ニノの腕を取って立ちあがった。
「俺のこと…好きにしていい」
「はあ?」
「殴ってもいい。それでニノの気が済むなら…」
「なんなのよそれ…」
呆れたように手を振り払われた。
「舐めてんの?俺のこと」
「違う…俺、こういうの初めてで…どうしていいか…」
どうやったら…どう言ったら、ニノはわかってくれるんだろう。
どうしたら、伝わるんだろ…